留学・転勤で海外の方が来日する場合、困ってしまいがちなのがお部屋探し。過去には部屋を借りる際に外国人が断られるケースも存在し、お部屋探しが不安な方も多いのではないでしょうか。
今回は外国人の賃貸物件を借りるのが難しいと言われている理由、また外国人が入居審査に通りやすい方法を紹介します。
目次
外国人が賃貸物件を借りるのが難しい理由
1文化の違い
外国人がお部屋を借りるのが難しいと言われる理由に、日本との文化の違いがあります。
例えば、欧米では靴を履いて部屋に入るのは普通のこと。一方、日本では靴を脱いで部屋にあがるのが一般的です。
人によっては自国との文化の違いを受け入れられず、今まで通り暮らしてしまい大家さんを困らせてしまう場合があります。実際に、外国人が靴を履いたまま部屋で生活していたため、床がひどく汚れてしまったケースもありました。
ほかにも、過去には不法滞在の外国人を同居させていたなど悪質な例も存在します。もちろん、すべての外国人が同じことをするわけではありません。しかし、過去の例を聞いた大家さんが外国人へお部屋を貸すのに抵抗感を抱いているケースは多いです。
2隣人とのトラブル
文化や生活習慣の違いから、隣人とトラブルになるリスクを大家さんが考えている場合もあります。
例えば、日本ではゴミを分別して出すのがルールです。一方、出身国によってはゴミの分別習慣がない人も多いでしょう。ゴミを分別しないで出してしまうことで、同じマンションやアパートに住む人にも迷惑がかかってしまいます。
加えて、日本語での意思疎通が困難ではトラブルが起きた際に問題解決に至らない可能性が高いです。このようなリスクを踏まえ、外国人に部屋を貸すのに大家さんが抵抗感を抱いているケースもあります。
3連帯保証人が立てづらい
外国人が部屋を借りる際に難題と言われているのが「連帯保証人」です。連帯保証人とは、住人が家賃を滞納した場合に代わって支払い義務が発生する人のこと。外国人に限らず、日本人でも部屋を借りる際には保証人が必要です。
日本で部屋を借りる場合、日本人の連帯保証人が必要なケースがほとんどです。親族に日本人がおり、連帯保証人になってもらえれば問題ありません。一方、親族に日本人がいない外国人は連帯保証人が見つからず、困ってしまう場合が多いです。
連帯保証人を立てる際は、留学生であれば学校の教師、ビジネス目的で日本に来ているなら人事担当者や上司に一度相談してみましょう。
外国籍を理由に入居拒否は違法
大家さんが外国人に部屋を貸すのに抵抗感を抱いているケースは多いですが、実際には「外国人だから」と入居を拒否することはできません。
外国籍を理由に入居を拒否する行為は、違法となります。2007年には「外国籍を理由に入居を拒否された」として大阪地裁で訴訟が行われ、家主に慰謝料請求を命じる判決が出ています。
在日韓国人の弁護士が家主から外国籍を理由にマンションへの入居を拒否される事件がありました。これについて、大阪地裁で「家主は入居差別を認め謝罪し、解決金100万円を支払う」などの条件で和解しました。
そもそも「入居審査」とは、借主が家賃を問題なく支払える人物かを確認するのが目的。「外国籍だから」と入居を拒否するのは、単なる差別として扱われます。もし国籍のみを理由に入居を拒否されたら、専門家に相談しましょう。
【注意】入居拒否=全てが違法ではない
外国籍だけを理由に断ることは違法となりますが、入居審査の結果、条件を満たせず落ちた場合は違法ではありません。
たとえば家賃を払えるだけの年収があるか、勤続年数や、雇われている雇用形態(社員なのかパートなのかなど)、連帯保証人がいるかなど。さまざまな条件を総合的にみた結果、入居を断られた場合は違法とはなりません。
外国人が賃貸の入居審査を通す方法6選
1日常会話程度の日本語を理解しておく
外国人が入居審査に通るためには、日本語の習熟度が重要です。
もしトラブルが起きた際に日本語が話せなければ、隣人や大家さんとコミュニケーションをとることも難しいでしょう。日本語が全く話せない場合、入居審査はNGとなる可能性が極めて高いです。
また、賃貸物件契約時は多くのルールを理解しなければなりません。契約書の難しい日本語がすべて分かるレベルに至らなくても問題ありませんが、禁止事項や家賃の支払い期限など、生活するのに必要最低限の内容は理解する必要があります。
お部屋を借りる前に、最低でも大家さんや不動産屋さんと意思疎通ができる程度の日本語力を身につけておきましょう。
2日本に住んでいた実績があると通りやすい
もし以前にも日本に住んでいた経験があるなら、入居審査が通りやすくなる可能性が高いです。
外国人の入居審査が厳しいと言われるのは、文化や生活習慣の違いにより大家さんが抵抗感を抱いているケースが多いからです。既に日本在住経験があるなら、日本の文化やルールを理解している人物と判断され、大家さんも安心してお部屋を貸せます。過去に在住経験がなくても、日本語学校に通っていた場合も同じ理由で信用を得られる可能性が高いです。
「日本の大学に通い学生寮に住んでいた」「日本でホームステイをしていた」などの経験がある方は、ぜひ入居審査時に積極的に伝えておきましょう。
3支払い能力があることを証明する
入居審査は「家賃が支払える人物か」を判断するのが目的のため、支払い能力があることを証明するのは最も重要なポイントです。
働いている方は「就労証明書」「在職証明書」が必要になるケースがあるため、会社に頼んで発行してもらいましょう。働いていない場合でも、企業に内定しているなら「内定証明書」の提出を求められるケースがあります。不動産会社に提出を求められたら、速やかに書類を用意しましょう。
入居審査に通るコツとして、家賃の低い物件を選ぶのもポイント。年収に対して家賃があまりにも高いと、「支払い困難」とみなされ入居を断られる可能性が高いです。仮に通ったとしても、生活費ギリギリの状態で暮らすのは辛いもの。家賃は月収の30%程度を目安とし、自分の経済状況に合った物件を探しましょう。
家賃の目安 | |||
---|---|---|---|
手取り額 | 賃料の目安 | 手取り額 | 賃料の目安 |
15万 | 4.5万 | 25万 | 7.5万 |
16万 | 4.8万 | 26万 | 7.8万 |
17万 | 5.1万 | 27万 | 8.1万 |
18万 | 5.4万 | 28万 | 8.4万 |
19万 | 5.7万 | 29万 | 8.7万 |
20万 | 6.0万 | 30万 | 9.0万 |
21万 | 6.3万 | 31万 | 9.3万 |
22万 | 6.6万 | 32万 | 9.6万 |
23万 | 6.9万 | 33万 | 9.9万 |
24万 | 7.2万 | 34万 | 10.2万 |
たとえば手取りが20万なら6万以下の部屋だと審査がスムーズです。
4在留資格を証明する
外国人の方は、自身が不法滞在でないことを証明する必要があります。一般的には、入国管理局での許可申請時に発行される「在留資格認定証明書」の提示を入居審査時に求められる場合が多いです。
不動産会社によっては、中長期在留者に発行される「在留カード」の提示を求められるケースもあります。どちらにしても、書類の提出を求められたら速やかに用意しましょう。
5外国人が多く住んでいるエリアで探す
住みたいエリアを広げられるなら、外国人が多く住んでいるエリアでお部屋探しをするとスムーズに決まる可能性が高いです。もし既に外国人が住んでいるマンション・アパートであれば、大家さんも寛容な場合が多いでしょう。
東京都なら、多くの企業ビルが立ち並ぶ「新宿区」、東京湾に隣接し千葉にもアクセスしやすい「江戸川区」に外国人が多く住む傾向があります。ぜひエリアにも注目して、お部屋探しをしてみましょう。
6外国人OKの不動産屋で探す
賃貸物件契約時に日本人の連帯保証人を立てるのが難しい場合、保証人不要の物件を探すのも手です。
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外国人の物件探しまとめ
外国人の物件探しについて、難しいと言われている理由、入居審査に通るコツを紹介しました。入居審査時は日本語の意思疎通に問題がないことをしっかりと伝え、必要な書類提出を求められたら速やかに用意しましょう。
また、日本で暮らすうえでは日本の文化・生活習慣を理解しておくのも重要です。はじめは慣れるのに大変かもしれませんが、トラブルに巻き込まれないためにもしっかりルールを覚えて生活しましょう。