母子家庭でも賃貸物件は借りられるの?
「離婚をして新たに賃貸住宅を借りることになった」「母子家庭で、子どもが大きくなったので広い家に引越したくなった」など、さまざまな事情から賃貸住宅を借りたいと思っている母子家庭の方もいるでしょう。
しかし、母子家庭の場合、賃貸物件を借りる際の入居審査に落ちてしまうケースもあります。そこで本記事では、母子家庭で入居審査に受かるコツを解説。母子家庭で賃貸住宅を借りたい方は、参考にしてみてくださいね。
入居審査で見られるポイントとは?
物件借りる際、避けて通れない入居審査ですが、具体的にはどのようなことを見られるのでしょうか。チェックされるポイントや、家を借りるまでの流れについて解説します。
1家賃をきちんと継続して支払える人かどうか
一番大事なポイントは、収入です。収入だけでなく、職業や勤務先なども確認されます。そのため、上場企業などに勤めている人は審査に通りやすく、反対に専業主婦やパート勤務の人は通りにくくなります。
母子家庭の場合は、母親1人でも収入が安定しているかどうかを見られるため、就業状況は重要です。
専業主婦の場合は仕事を始めたり、パート勤務の場合は正社員になったりしてからのほうが審査は通りやすいといえるでしょう。
また、いくら収入がある人でも、身の丈に会わない物件の審査は通りません。家賃は安いほうが審査は通りやすい傾向があります。
2連帯保証人の収入は安定しているかどうか
連帯保証人とは、借主が家賃を支払わなかったときや破損してしまい弁償できないなど、何らかのトラブルを起こした場合、本人に代わって支払いをする人のことです。
そのため、本人だけでなく、安定した収入がある連帯保証人かどうかもチェックをされます。
連帯保証人には近しい親族を選んだほうが通過しやすくなります。何らかの事情により連帯保証人を立てられない場合には、賃貸保証会社を利用することも考えましょう。
3入居するのにふさわしい人物かどうか
物件オーナーにとって、ご近所トラブルを起こす可能性がある人は入居させたくないのが本音です。
ペット不可の物件でペットを飼ったり、ゴミ捨てのルールを守らなかったりするような人は入居させたくありません。
そのため、収入や仕事だけでなく、借主が信頼できる人物かどうかという人間性もチェックしています。
4子どもの年齢
一般的に、子どもの年齢が高いほど審査は通りやすいと言われています。これは、夜泣きや騒音によるトラブルを起こす可能性が低いためです。
ただし、乳幼児がいる母子家庭だからといって、入居審査が通らないわけではありません。
不動産会社には子どもの年齢や状況を正直に話し、防音がしっかりしている物件や、子育て世代が多い物件など比較的、審査が通りやすい物件を紹介してもらいましょう。
母子家庭でも賃貸物件の入居審査に受かるコツ10選
物件を貸しても問題ないかをチェックする入居審査。母子家庭の場合は、一般的な家庭より審査が通りにくくなります。
大切なことは、コツをしっかりおさえて挑むこと。ここからは、母子家庭が賃貸物件の入居審査に受かるコツを10選ご紹介します。
1母子家庭向けの家賃補助を受ける
自治体によっては、母子家庭に対する家賃補助制度を設けています。
子どもが18歳未満であることや、所得が一定額に満たないことなどの条件がありますが、補助を受けることで家賃負担が減り、生活にゆとりが出ることも。
条件に該当して家賃補助を受けていないより、受けているほうが入居審査がスムーズに通りやすくなります。
家賃補助がある区 | ||
---|---|---|
どこの区? | 補助額 | 期間 |
千代田区 | 月額5万円まで | 最長5年間 |
杉並区 | 月額3万円まで | 初回のみ |
豊島区 | 月額2万5千円まで | 4年目からは助成金額の2分の1 |
目黒区 | 月額2万円まで | 最長3年間 |
子どもの年齢や収入、物件の家賃などの条件がありますが、家賃の補助がもらえれば入居審査に通過する可能性も高くなります。
補助額は自治体によって異なりますが、月に2万~5万円ほどが目安となります。
条件を把握するために、あらかじめ確認しておくことが大切です。
2手取りの30%以内の家賃に収まる物件を選ぶ
入居審査では、「家賃をきちんと継続して支払える人かどうか」を見られます。
そのため、収入に見合った家賃の物件を選ぶことが大切です。目安としては、家賃は手取りの30%以内。
手取り15万円であれば、家賃4万5千円以下の物件になります。
手取りから見る家賃の例 | |||
---|---|---|---|
手取り額 | 賃料の目安 | 手取り額 | 賃料の目安 |
15万 | 4.5万 | 25万 | 7.5万 |
16万 | 4.8万 | 26万 | 7.8万 |
17万 | 5.1万 | 27万 | 8.1万 |
18万 | 5.4万 | 28万 | 8.4万 |
19万 | 5.7万 | 29万 | 8.7万 |
20万 | 6.0万 | 30万 | 9.0万 |
21万 | 6.3万 | 31万 | 9.3万 |
22万 | 6.6万 | 32万 | 9.6万 |
23万 | 6.9万 | 33万 | 9.9万 |
24万 | 7.2万 | 34万 | 10.2万 |
手取り×0.3で計算
しかしネット代、スマホ代など、一昔前にはなかった支出もでてきてる今、手取りの30%も家賃に充てると予算オーバーになることも珍しくありません。
家計に占める居住費の割合が大きくなるほど、家計への負担は大きくなり、他の食費や教育費などを圧迫することになります。
家賃は一度住んでしまうと、日々のやりくりで節約することが難しい固定費ですので、慎重に見極めたいところ。
一般的には家賃は手取りの25%以下に抑えることで、長期的な節約の効果が期待できます。
3安定した収入がある親族を連帯保証人にする
収入は、本人だけでなく連帯保証人のものも見られます。そのため、連帯保証人は収入が安定している人を立てることが大切です。
親を連帯保証人にすることが多いですが、高齢で退職している場合などは、兄弟やほかの親族に相談をしてみましょう。
年収の審査基準については連帯保証人も「手取りの30%以下に家賃が収まる」かどうかがポイントになります。
手取りの30%以内に家賃が収まっていない場合は連帯保証人も支払い能力がないとみなされ入居審査に落ちる可能性が高いです。
4慰謝料などで預貯金がある場合は預貯金審査を選ぶ
月々の収入は安定しないものの、慰謝料などで預貯金にゆとりがあるという場合は、預貯金審査をお願いするのもおすすめです。
預貯金審査とは、今の収入ではなく、預貯金から支払い能力があることを審査してもらう方法です。
預貯金審査の場合、最低でも2年分の家賃の貯蓄が必要になります。つまり、家賃6万円の物件であれば、144万円です。預貯金に余裕がある人は、選べる方法といえるでしょう。
5仕事をする
母親1人でも家賃が支払い続けられるかをチェックされるので、就業状況は重要です。
子供が幼く外に働きに出れない人は在宅で仕事をして収入があることをアピールする方法もあります。すぐに始めやすいのは短時間の稼働でもOKな在宅ワークです。
また社会復帰したいママ向けに仕事を紹介してくれるサイトもあります。登録すると担当者がつき希望の職種や、こどもの成長を考慮したキャリアプランを提案してくれます。
子育て中のママさん向けに仕事を紹介してくれるサイト
家で仕事をしたい人向け | |
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在宅ワークの中でも「コールセンター」のお仕事に特化したお仕事サイト。特別なスキルや資格がなくてもできる在宅ワークなので気軽に始めやすい。毎日コツコツ対応すれば月収5~10万円ほど稼げる。特にノルマはなくクビにもならないが、さぼりがちになると1万を切る。 | |
公式サイト【コールシェア】 | |
子育て中のママさん向け | |
子育て中のママ向けに仕事を紹介してくれるサイト。子育と両立しながら、 時短やリモートで働きたいなど、ママの社会復帰や、スキルアップにつなが職場を紹介してくれる。ライフスタイルに合わせて「時短」や「在宅」でお仕事ができるほか、副業からのお試し入社なども可能。 | |
公式サイトママ向けキャリア転職支援サービス【ママキャリ】 |
6乳幼児の場合は防音性が高い物件を選ぶ
母子家庭の入居審査では、子どもの年齢も影響します。子どもが小さい場合は、鳴き声や走り回る音などの騒音トラブルが起きる可能性が高く、警戒する物件オーナーもいます。
乳幼児がいる場合は、コンクリート造の物件を選んだり、角部屋や1階の物件を選んだりすることで審査が通りやすくなるでしょう。
7引越しの理由を伝える
不動産会社や物件オーナーに、引越しの理由や事情を聞かれることもあります。そのときには、曖昧な伝え方をしたり、嘘をついたりしてはいけません。
嘘をつけば、不信感を抱かせたりトラブルに発展したりする可能性もあります。「離婚して子どもと引っ越すことになった」「母子家庭なので実家の近くに暮らしたい」など、きちんと伝えることが大切です。
8入居審査に必要な書類はきちんとそろえる
なんとなく書いてしまいがちな入居審査の書類。しかし、入居するまで物件オーナーに会わない場合、入居審査の書類は「顔」でもあります。
書類は丁寧に書き、不備や誤字脱字がないようにしましょう。間違っても虚偽の内容は書かないように。また、書類がきちんと揃っていないと審査が進まず、ほかの希望者に取られてしまうこともあるので、短期間ですべてそろえて提出することも大切です。
入居時に必要な書類一覧
- 身分証明書(運転免許証・健康保険証・パスポート)
- 収入証明書(会社勤務は源泉徴収票等・給与支払証明書)(自営業の場合は確定申告書や課税証明書)
- 印鑑証明書(発行から3カ月以内の原本)
- 住民票(発行から3カ月以内の原本)
- 連帯保証人の承諾書
9服装や言葉使いに気をつける
入居審査でチェックされるのは、収入だけではありません。
「マナーを守れる人か」「モラルがある人か」などという人柄を見られるので、服装や言葉使いなどには気をつけましょう。
思い通りに行かず声を荒げたり、品のない服装で会ったりすると、「入居するのにふさわしくない」と判断されてしまいます。
10母子家庭向けの物件を紹介してもらう
母子家庭の向けの物件を紹介してくれる不動産屋があります。
母子家庭の人が多く住んでいる物件や、母子家庭に理解のあるオーナーさん所有の物件など審査が通りやすいお部屋を紹介してくれます。
母子家庭向けの物件を紹介してくれるサイト
【非対面での物件探しにおすすめ】 | |
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ネット上で営業している不動産屋。スマホがあればすぐにお部屋探しができます。深夜10時まで営業しているので、子供の世話でなかなか不動産屋に行けない人におすすめです。シングルマザーだけでなくフリーター、学生など審査が通りにくい人達向けの物件も紹介してくれます。AIとやりとりするので質問もしやすいのがポイント。 | |
公式サイト iettyの公式アプリ | |
【格安物件を探したい人向け】 | |
家賃2万円台からと格安物件を取り扱っており敷金・礼金・手数料・更新料が全て0円です。母子家庭のほか、無職、フリーターや学生、高齢者や外国人、生活保護を受けている人でも入居可能。紹介物件のほとんどは築30~40年以上経過した古い住宅です。東京の物件は少なめなのと、格安物件なため部屋の綺麗さを求める人は不向き。 | |
公式サイトビレッジハウス |
母子家庭でも賃貸は借りる方法まとめ
「母子家庭だと賃貸物件を借りられないのでは」と不安になっている方もいるでしょう。
しかし、母子家庭であっても物件を借りることは可能です。
ただし、入居審査は一般的な家庭よりも通りにくくなります。
今回ご紹介したコツをおさえて、入居審査に通過し、新しい生活をスタートさせてくださいね。