賃貸契約を結ぶ際、賃貸保証会社の加入を勧められます。保証会社を利用することにより大家さんも貸しやすくなるというメリットがあるためです。
しかし加入するには費用が発生し入居者側にとってはメリットばかりではありません。
本記事では、賃貸保証会社に入らず借りられる物件の探し方や加入費用などをわかりやすく解説しています。部屋を借りる際のぜひ参考にしてください!
目次
賃貸保証会社とは?
入居者が何らかの事情で家賃を支払わなかった場合、入居者に代わって大家さんに家賃を立て替え払いするのが、賃貸保証会社です。
一昔前は親や親族を保証人とするのが一般的でしたが、親や親族から支払わないケースも多く、家賃が回収できないトラブルも多くありました。
大家さん側のリスクを回避するため、2021年時点で80%の物件が賃貸保証会社の利用を必須としています。(国土交通省調べ)
賃貸保証会社に払う金額は?
保証会社によって金額は異なりますが、一般的に家賃の0.5カ月~1カ月分が目安となります。
家賃8万円の家を借りた場合は保証会社には4~8万円支払う計算です。さらに1年毎に「更新保証料」も支払います。
賃貸保証会社の相場
- 【初回利用料】契約時に払う金額は0.5カ月~1カ月分
- 【月額保証】月額として家賃の1~2%
- 【更新保証料】1年毎に支払う金額は1万円
「更新保証料」の平均相場は1年毎に1万円です。保証会社によっては2年毎に2万円の場合もあります。
また「更新保証料」ではなく「月額保証料」で支払うケースもあります。「月額保証料」の平均相場は家賃の1~2%です。
家賃8万円の場合は「月額保証料」800円(1%の場合)です。月額保証料を払うなら年間の更新保証料はありません。
大家さんや不動産会社の意向によって保証会社は変わってきます。料金プランも変わってくるので必ず契約前に確かめましょう。
不動産会社はキックバックがもらえる
賃貸保証会社の利用が必須となる背景には不動産会社へのキックバックも大きく関係しています。賃貸保証会社を仲介するだけで家賃保証会社から5~30%のキックバックがもらえます。
初回利用料はもちろん1年毎に払う更新保証料からもキックバックが支払われるため利用を必須としているのです。
賃貸仲介会社へキックバック
親族などの連帯保証人を立てたのにもかかわらず、それとは別に家賃保証会社の利用を義務づけるケースも2010年頃から増えているようだ。
その背景として、家賃保証会社から賃貸仲介会社へ一定の手数料やキックバック(謝礼)が支払われるケースの存在が挙げられている。
賃貸借契約に伴い加入を求められる家財保険や住宅総合保険でも同様のキックバックがあったり、引越し会社からも賃貸仲介会社へ紹介料が支払われたりするが、本来の仲介手数料以外の副収入源として使われているのだろう。
引用元:家賃保証会社を利用するメリットは? その仕組みと現状の課題(LIFULL HOME'S PRESS)
入居者へ説明される事は無い
入居者が保証会社へ支払う契約金額の5%~多い場合は30%程度が、不動産会社へキックバックされる。このキックバックの事実が入居者へ説明される事はもちろん、無い。
引用元:知っているようで知らない? 家賃保証会社 その商品の欠陥(カクヨム)
宅地建物取引業法のルール上、不動産屋に支払う仲介手数料は家賃の「家賃1月分(1ヶ月分+消費税)」までと決められています。たとえば家賃8万円の物件を借りる場合、仲介手数料の上限は税込みで8万8千円となります。
仲介手数料の上限は決まっているため、鍵交換や室内消毒代のオプション代をつけたり、保証会社からキックバックをもらうなどして営業利益を上乗せしています。
加入しないと交渉することは可能
賃貸契約を結ぶ際、家賃保証会社への加入は義務ではありません。しかし物件情報にに「保証会社利用必須」と記載があれば加入を拒否することはできません。
家賃保証会社への加入を決めるのは大家さんです。大家さんが「利用必須」と思えば従うか別の物件を探すしかありません。不動産会社にとってもキックバックがあるので「利用必須」の方がメリットがあります。
一方で「保証会社利用可」と書かれていた場合は、加入せず借りられる可能性があります。
保証会社に加入しない人は連帯保証人を立てることになります。連帯保証人とは、入居者が家賃を滞納したときや破損してしまい弁償できないなどトラブルを起こした場合、本人に代わって支払いをする人のことです。
いざという時に肩代わりできる安定した収入があるか、連帯保証人も厳しくチェックをされます。
年収の審査基準については連帯保証人は「手取りの30%以下に家賃が収まる」かどうかがポイントになります。
手取りの30%以内に家賃が収まっていない場合は連帯保証人も支払い能力がないとみなされ入居審査に落ちる可能性が高いです。
保証人になれる家賃の目安 | |||
---|---|---|---|
手取り額 | 賃料の目安 | 手取り額 | 賃料の目安 |
15万 | 4.5万 | 25万 | 7.5万 |
16万 | 4.8万 | 26万 | 7.8万 |
17万 | 5.1万 | 27万 | 8.1万 |
18万 | 5.4万 | 28万 | 8.4万 |
19万 | 5.7万 | 29万 | 8.7万 |
20万 | 6.0万 | 30万 | 9.0万 |
21万 | 6.3万 | 31万 | 9.3万 |
22万 | 6.6万 | 32万 | 9.6万 |
23万 | 6.9万 | 33万 | 9.9万 |
24万 | 7.2万 | 34万 | 10.2万 |
連帯保証人になれない例
- 入居したい家賃額に対して手取り額が低い
- 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書等)を提出できない
- 個人事業主などの不安定な職業
- 年金生活をしている
- 年齢が高齢(60歳以上)
- 電話での連絡がとれない
- 過去にクレジットなどの滞納歴がある
- 血縁関係がない
連帯保証人は親や兄弟など血縁関係がある人に限られます。赤の他人はなれません。個人事業主などの収入が不安定な職業や年金暮らしも審査で落ちる可能性が高いです。
連帯保証人には確認の電話がかかってきます。連帯保証人になることを同意しているか確認するためです。何度もかけているにも関わらず電話にでなかったり折り返しがない場合も審査に落ちます。
保証会社に未加入OKな不動産サイト2選
保証会社は利用したくないけど、いちいち「保証会社利用可」の記載があるのか探し交渉するのは手間がかかります。そんな面倒を省くため最初から保証会社を利用しなくてもいい不動産サイトを紹介します。
東京6万以下のお部屋専門「部屋まる」
「部屋まる」は東京、埼玉、千葉、神奈川を中心に6万円以下の物件を取り扱う不動産屋です。
「保証会社に加入したくない」と伝えれば条件にあった物件を紹介してくれます。
入居審査が通るよう間に入って調整もしてくれるので近所の不動産を利用するぐらいなら部屋まるを通して部屋を借りたほうがスムーズです。
「室内消毒代」や「安心サポート費」などの余計なオプション代が一切かからず初期費用も抑えられます。
公式サイト東京6万円以下専門店【部屋まる。】
ウチコミ!
ウチコミ!は大家さんが直接、入居者を募集できる賃貸情報サイトです。2023年にはオーナー会員が15,000人突破。
多くのテレビや雑誌で紹介され、現在も会員数を伸ばしています。間に管理会社が入らないため、ほとんどの物件が保証会社が不要となっています。
ウチコミ経由で契約すると仲介手数料がすべて無料になるのもメリットです。
デメリットとしてはSUUMOやHOMESと比べると、物件掲載数が圧倒的に少ないこと。東京23区の物件は約580件ほど(2023年時点)。
一方SUUMOで東京23区の物件を探してみると約120万件。数多くの中から比較してお部屋を探したい人にウチコミは不向きです。
公式サイトウチコミ!の公式はこちら
初期費用を下げる交渉術
部屋を借りる際に、「賃貸保証会社」以外にもいくつか請求される項目があります。中には不動産会社が売上を上げるために、必要のない項目を水増しして請求してくることも。つづいては交渉によって下げられる項目を紹介します。
家賃8万円の初期費用例
家賃8万円の賃貸物件を借りた場合、初期費用の目安はおよそ40万前後の金額になります。
項目 | 費用 |
---|---|
前家賃 | 8万円 |
敷金 | 8万円 |
礼金 | 8万円 |
仲介手数料 | 8.8万円 |
賃貸保証会社 | 4万円 |
火災保険料 | 1.5万円 |
鍵交換 | 2万円 |
室内消毒 | 1.5万円 |
合計 | 41.8万円 |
上記で交渉しやすいのは「室内消毒」「鍵交換」「礼金」です。
「室内消毒」がいらない理由
「部屋にゴキブリなどの害虫がでないように」などの理由で「室内消毒」を勧められる場合があります。
部屋の広さによっても金額が変わりますが平均相場は1~2万円程度。それなりに額をとるので業者が消臭抗菌をしてくれると思いがちですが、ほとんどは消臭抗菌スプレーを担当者が撒いて終わりです。
また不動産会社によってはスプレーすら撒かないことも。有名なのがアパマンが起こしたガス爆発事故です。
アパマンショップの担当者が未使用の除菌消臭スプレー120本を廃棄するため、室内に噴射。その後湯沸かし器を点けた際に、店舗内に充満したガスに引火し、爆発が起きました。
「室内消毒」はオプションに含まれることが多く必須ではありません。勧められても断った方がよいです。
「鍵交換」がいらない理由
「鍵交換」について国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には鍵の取替えは「入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。」と記載されています。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」P.21
しかしあくまでガイドラインとなり義務ではありません。最終的に話し合って決める形にはなりますが1度ガイドラインの話を交え交渉してみる価値はあるでしょう。
もし入居者が負担することになった場合も、自分で鍵屋を呼んだ方が安く済みます。悪質な不動産会社の場合、費用だけとり鍵を交換しない場合もありますので注意が必要です。
「礼金」がいらない理由
「礼金」とは入居時に大家さんに支払う謝礼です。平均相場は家賃1~2ヶ月程度。お礼として支払うお金で一切返金はされません。入居希望者にはメリットがない費用です。
最近では「礼金」0円の物件も増えてきたため「礼金」があると契約者が決まらず空室期間が長引くことがあります。
空室期間が長いと大家さんの家賃収入が減ってしまいます。「礼金を無しにしてくれるのであれば契約します」と契約する意思を伝えると礼金を削ってくれることがあります。
ただし繁忙期である1~3月は入居希望者が多く交渉はできません。交渉するときは閑散期である5~9月が狙い目です。