選ばないほうがいい賃貸物件の特徴と内見時のチェックポイント
2021/02/24
目次
住んで後悔する物件を見抜くコツ
不動産屋に行くと間取り図や室内の写真をたくさん紹介してくれます。その中で条件に見合う物件が見つかったとしても、すぐに入居を決めるのはNGです。入居してから初めて気がつく"部屋の欠点"は、意外と多くあります。そんな失敗を防ぐためにも、欠かせないのが「内見」です。今回本記事では、内見時にチェックすべきボイントを紹介していきます。
1防音はしっかりしているか
賃貸物件の中でも、もっとも入居後に頭を悩ませるのが「壁の薄さ」による騒音トラブルです。隣人が大声で騒いでいれば管理会社にクレームをいうことはできますが、壁が薄い物件では普通に暮らしているだけの生活音でも丸聞こえになります。
テレビの音、電話で話している声、ドアの開閉などの生活音に関するクレームは解決方法がなく大抵は注意書きの貼り紙を1枚貼って終わりです。
マンションに貼ってあったんやけど、これクレーム出してる方がマンションに向いてないのでは…?うちのマンション防音やからそこまで気になったことないし深夜はまだしも日中の多少の生活音とか振動が気になるほど神経質なら完全防音に引っ越すか実家に帰りなって思った… pic.twitter.com/ZMZyZQ2Yo0
— もち! (@m74644198) November 17, 2020
住んだ後に後悔しないためにも内見時に音のチェックは必須です。
壁や床の遮音性を確認するため、部屋が二つある場合は隣の部屋に行って不動産屋の担当者と壁越しで会話し、どれほど声が聞こえるのかチェックしましょう。ワンルームの場合は、室内の音が不自然に反響しないか、不動産屋の担当者と話しながら、室内での声の反響に耳を澄ませてみてください。音が不自然に反響する部屋は音が吸収されていないため、遮音性が低く隣の生活音すらも聞こえてしまう可能性が高いです。
しかし防音対策がしっかりされている物件は家賃相場もそれなりの額になってきます。誰でも予算に限界はあるため、どこかで妥協することも必要でしょう。そこでおすすめなのは少しばかり壁が薄くても、お互いの生活音が聞こえづらい独立性の保たれた物件です。具体的には角部屋で隣と接する接地面が少ない、またはアパートの最上階で上に住人がいないなど壁が薄いけど隣人とぴったり壁や天井がくっついていない物件です。
また一般的に遮音性の高いマンションは界壁の厚さが150mm以上といわれていますが、アパートでは100mm未満の壁も珍しくありません。家賃相場は多少あがりますが生活音でのストレスを避けたい人はアパートよりマンションがおすすめです。
2玄関などの共用スペース
エントランスや郵便受などの共用スペースはマンションオーナーの管理体制や住んでいる住民の人間性が分かる場所です。郵便受けの下にチラシが散乱していないか。もしチラシが散乱していた場合、住人にモラルの低い人がいる可能性があります。エントランスの掃除が行き届いていなかった場合、管理会社の対応が悪い可能性も。そのほかゴミ捨て場は綺麗に使用されているか、駐輪場の自転車がバラバラに置かれていないかなど。一目見ていい加減だと分かる場合は、選ばないほうがよいでしょう。
3水回りに欠陥がないか
部屋に入ったら、まずは室内全体の臭いを確認しましょう。台所やお風呂場、洗濯機置き場など水回りの排水溝に問題がある物件は、下水のような臭いがします。集合住宅では、下水臭や虫を防ぐために排水溝の管に水を溜める部分が設けられています。しかし築年数が経過した古い物件や管理がずさんな物件では、この管が詰まりやすく排水溝から悪臭がするのです。
ただしハウスクリーニングの直後だと、部屋自体には悪臭がしないことも。入室時に臭いがなかったとしても、室内すべての排水溝の臭いを確認するようにしましょう。またカビ臭さを感じた場合は、水漏れや湿気に弱い物件の可能性があります。押し入れの奥にシミなどはないか、壁紙の繋ぎ目が剥がれていないかなどを重点的にチェックしましょう。
4窓を開けた時の日当たりや風通し
室内の窓をすべて開けて、窓からの眺めや、日当たり、風通しを確認しましょう。向かいに大きなビルやマンションが建っていたら、時間帯によっては日当たりが悪くなる可能性を考慮しておきます。また建物の窓が同じ高さであれば、室内の様子が丸見えになるという不安からカーテンを閉めた生活を余儀なくされてしまうことも。
5部屋に傾きやゆがみがないか
ドア・ふすま、窓や網戸などを開閉し、ギシギシ音をたてたり、スムーズに開け閉めができないなど、たてつけの悪さを感じたら要注意。老朽化によって物件に傾きやゆがみが生じている可能性があります。また多少のたてつけの悪さは気にならないという人でも網戸のたてつけは必ずチェックしましょう。網戸に隙間ができていると、夏場の夜は蛍光灯の光に誘われて虫が侵入してきます。結果、窓を閉めてクーラーを使い続けることになり、電気代が高くついてしまうことも。
異常に安い物件は疑うべし
SUUMOやHOMESで物件を探していると、まれに掲載ミスかと疑いたくなるような格安物件を目にすることがあります。
たとえば、複数の路線が乗り入れるターミナル駅から徒歩5分のデザイナーズマンションの家賃が月額7万円など。周辺の平均家賃相場は1DKで14万円前後なのに、相場の半額程度という格安物件です。
設備欄には宅配BOX・室内洗濯機置き場・独立洗面台・リフォーム済といった魅力的な条件が掲載されていますが、備考欄には、「告知事項あり」と掲載されています。

実際にSUUMOに掲載されている物件
告知事項とは、不動産屋が入居希望者に対し、事前に伝えなければならない重要事項のことです。物件を貸す際、事件・事故などの見ためからは分からない欠陥(瑕疵)がある場合、不動産屋は、その事を報告する「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」の義務があります。
告知義務が発生する4種類の瑕疵(かし)
1物理的瑕疵物件(ぶつりてきかしぶっけん)
土地や物件の建物に、重大な破損や欠陥があるケースを指します。
物理的瑕疵物件の例
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 耐震強度の不足
- 壁のひび割れ
- 建材にアスベストを使用
- 地盤沈下など地盤が歪んでいる
地盤が歪んでいたり、建材にアスベストを使用しているなど、目で見て分からない「瑕疵」の場合は、専門家に調査してもらわなければ把握できないため、まず見抜くことは難しいでしょう。また日常生活をしている中で起きた壁の傷や床の摩耗・変色は瑕疵としてみなされません。
2法律的瑕疵物件(ほうりつてきかしぶっけん)
法令などにより、なんらかの制限がある場合、または法令を違反していることを指します。
法律的瑕疵物件の例
- 構造上の安全基準が満たされていない
- 火災報知機、スプリンクラー等の防災設備が古い
- 都市計画法に基づき制限が設けられている
原則として新築物件に違法建築になる物件は存在しませんが、1981年以前に建てられている場合は、耐震基準を満たしていない可能性があります。
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合によると、1950年~1980年までに着工された木造二階建て以下の建物を対象とした耐震診断のうち、84.95%の住宅が震度6強クラスの大地震で倒壊する可能性があると指摘しています。

出典元:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合
東日本大震災でも老朽化した木造住宅に倒壊が多く、現行の耐震基準を満たしていない建物や、施工工事に問題があった建物などに被害が発生しました。
3心理的瑕疵物件(しんりてきかしぶっけん)
心理的瑕疵物件とは過去に事故や事件・なにかしらのトラブル等が発生した物件を指します。部屋の構造に問題がなくても心理的に「住みたくない」と嫌悪感を感じる、いわゆる「事故物件」です。また直接的な被害はなくても近所にヤクザの事務所やキャバクラなど嫌悪施設が近所にあるなども該当します。
心理的瑕疵物件の例
- 自殺があった
- 殺人事件が起きた
- 病気で亡くなっていたが発見が遅れた
- 火葬場・墓場などの心理的に避けたい施設が近い
- ラブホテル、風俗店など品位を下げる施設が近い
4環境的瑕疵物件(かんきょうてきかしぶっけん)
物件そのものに問題はないものの、周辺環境に嫌悪感を感じる物件を指します。ケースによっては心理的瑕疵物件に含まれることもあります。
環境的瑕疵物件の例
- 工場やゴミ焼却場などの悪臭や騒音が懸念される施設
- 火葬場・墓場・刑務所などの心理的に避けたい施設
- パチンコ店やラブホテル、風俗店など品位を下げる施設
- 高速道路などによる振動や騒音
もしも不動産屋が入居希望者に上記に該当する瑕疵の説明をせずに入居させた場合、宅建業法4条1項1号に定められた「告知義務」の違反となり契約解除や損害賠償を請求することができます。
やっかいなのは「事故物件」
告知義務のやっかいな点は、人の死が絡んだ場合の定義が明確にされていないことです。人の死が絡んだ場合は2人目の入居者には告知義務が不要となります。
賃貸物件には「事故物件の告知義務は、次に入居するひとり目のみ」という業界ルールがあります。1度でも入居者が生活すれば、過去の事件・事故による心理的瑕疵は薄まるため、以後の入居者に告知義務は発生しなくなります。これは過去の裁判例によって認められています。
告知が必要な期間は、事故等の概要、賃貸物件の需給状況、部屋の仕様等によって異なるものと思われるが、「最初の入居者に対しては本件事件の告知義務はあるが、同入居者が通常の賃貸期間を経過して退去した後は、新たな入居者に対して本件事件を告知する義務はない」などの判示がされている。
引用元:一般財団法人 不動産適正取引推進機構(https://www.retio.or.jp/attach/archive/112-060.pdf)
この「事故物件の告知義務は、次に入居するひとり目のみ」というルールを逆手にとり告知義務を合法的に消す業者も増えています。
たとえば自殺や殺人が起きた物件に短期間だけ自社の社員に契約させ“住んだ”という実績を作れば告知義務は発生しなくなります。
ほかにも、共用スペースなどの敷地内における事件・事故が起きることもあります。たとえば入居者と無関係の人物がマンションの屋上から飛び降り自殺したり、共用通路で人が殺されていたりしたら、心理的嫌悪を抱く人も多いはずです。
しかし敷地内における事件・事故に関しては、基本的に告知義務は発生しません。たとえ入居後に事件を知って管理会社を訴えたとしても、それまでに収めた家賃の返還や引越費用の請求は認められず、結果として泣き寝入りすることになります。
また一般的に自然死についても告知義務はありません。
自然死は、社会通念上嫌悪すべき心理的欠陥に該当するとはいえないことから、心理的瑕疵に該当するものではない。裁判例としては、自殺事故に該当しないとして棄却された下記裁判例が見られる。
<瑕疵を否定した事例>
・【A10】住宅売買の6年9か月前の居住者の死亡に関する死体検案書に自殺と記載されていたが、裁判所は死亡時の状況の総合考慮により自殺とは認められないとして心理的瑕疵を否定した事例。
引用元:一般財団法人 不動産適正取引推進機構(https://www.retio.or.jp/attach/archive/112-060.pdf)
ただし死後の発見が遅れ腐敗が進んでいたなどの場合は瑕疵と認められ告知義務が発生する場合もあります。しかし「死後〇日後に発見」といった明確な線引きがないため、告知の判断は物件のオーナーに委ねられることになります。
物件のリサーチは必須!
不動産会社によって扱う物件に差があるほか、同じ物件でも敷金・礼金が異なるケースがあります。より好条件の物件、より初期費用の低い物件を見つけるためにも、賃貸住宅情報誌やインターネットで事前に情報をしっかり収集しましょう。
【豆知識】相場より安いお部屋を探すコツ
2~3月は人の異動が増えるため、空き部屋も多くでてきます。
ネットに出回らない家賃の安い優良物件に住みたい人はチャット不動産のイエプラ、とにかく格安物件に住みたい人はビレッジハウスがおすすめです。
優良物件を探したい人向け | |
---|---|
![]() |
不動産屋しか見れない業者専用の優良物件情報サイトから物件を紹介してくれます。家賃相場の安い優良物件はネットに掲載する前に入居者が決まることが多いためSUUMOやHOMESには載りません。ネットで探せない物件を探すのに便利です。ネット不動産なのでチャットで気軽に相談できます。治安の良い街も紹介してくれるので女性におすすめ。 |
公式サイトイエプラ | |
格安物件を探したい人向け | |
![]() |
家賃2万円台からと格安物件を取り扱っており敷金・礼金・手数料・更新料が全て0円です。フリーターや学生、高齢者や外国人、生活保護を受けている人でも入居可能。紹介物件のほとんどは築30~40年以上経過した古い住宅です。東京の物件は少なめ。またワケありの人も簡単に入居できてしまうので治安面から女性よりは男性におすすめ。 |
公式サイト |
選ばない方がいい賃貸物件まとめ
今回は部屋を選ぶときにチェックすべきポイントを紹介しましたがいかがでしたでしょうか?もし内見時に見抜けず住んだ後に建物の構造上の欠陥に気づいた場合は、泣き寝入りせず地方公共団体に相談しましょう。
賃貸マンションに住んでいますが、マンションの耐震性に不安があります。どこに相談したらよいでしょうか?
賃貸マンションに入居している場合に、安全性について不安があれば、まずは賃貸人等(家主又は管理会社)にご相談ください。また、お住まいの地方公共団体(特定行政庁)や各地の専門家団体(→国土交通省HP http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071129_2_.html )に相談することも可能です。分譲マンションの区分所有者から賃借している場合においては、まずは賃貸人にご相談ください。分譲マンションの耐震診断は、区分所有者による管理組合での総会決議が必要となります。 また、管理規約等において、賃借人が設計図書等を閲覧できる規定をおいている場合もありますのでご確認ください。
引用元:国土交通省(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html#8)
また部屋の設備の故障についても原則は物件のオーナーが負担します。
たとえばシャワーの水漏れ、エアコンが故障したりといった設備の不具合は意図的に壊したものではない限り、物件のオーナーが負担します。ただし気を付けないといけないのは不具合を報告せずに状態を悪化させた場合です。
たとえば水道の蛇口をきつく閉めても水が、ぽたぽた垂れた状態が続いた場合、早めに報告し修理してもらえばなんの問題もなかったのに、ずっと放置したまま利用し続け、ある日たまたま破損し水が止まらず噴き出してしまった場合などは借り主の過失とみなされることがあります。状況が悪化するほど修繕費は高くなるので、少しでもおかしいなと感じたり不具合があった場合はすぐに報告するようにしましょう。