少子高齢化が進む日本。子どもが家を出たことで自宅を売却し、高齢者がお部屋探しをするケースも増えてきました。住んでいたアパートの建て替えなどで、急に部屋探しが必要になるケースもあるでしょう。
そんな時、「高齢者だとお部屋を借りにくいのでは?」と不安を抱く方も多いのではないでしょうか。今回は、高齢者が賃貸物件を借りるのが難しい理由、高齢者が入居審査を通すコツを解説します。
目次
高齢者が賃貸物件を借りられない3つの理由
1金銭面での不安
高齢者が賃貸物件を借りるのが難しいと言われている理由は、大家さんが高齢者の入居を不安がるケースが多いからです。大家さんが不安を抱く理由で、最も考えられるのが「金銭面」です。
65歳以上のシニア世代では、既に現役を引退して年金暮らしをしている方が多いしょう。現役世代と比べると年金暮らしは安定性に欠けるため、大家さんは家賃支払いが滞るリスクを懸念します。
十分な貯金があるなど、きちんと家賃を支払える人物だと判断されれば問題ありません。ただし、貯金がわずかな場合など、大家さんに不安を感じさせてしまいそうな場合は注意が必要です。
2健康面による不安
高齢者の入居に大家さんが不安を抱く理由の2つめが「健康面」です。
若い方と比べて足腰が弱くなってくる高齢者は、段差につまずいたり階段から落ちてしまったりと、部屋の中での事故が危惧されます。入居時は生活に不自由がない状態でも、1~2年経過すると体調面に変化が訪れる可能性も高いでしょう。
軽いケガならまだしも、頭を打つなどで重傷に至るケースも否めません。万が一の際に、1人暮らしの高齢者だと発見が遅れる可能性もあります。もし孤独死となると住んでいた部屋は「事故物件」として扱われるため、次の住人が見つかりづらくなってしまいます。
また、認知症などの症状が現れた場合、近所の方とトラブルを起こしてしまうケースも考えられます。このように、健康面によるさまざまなリスクを踏まえたうえで、大家さんが高齢者の入居に不安を抱くことが多いです。
3保証人がいない
大家さんが不安を抱く以外にも、高齢者が入居審査時に不利になるケースがあります。最も多いのが「保証人を立てられない」場合です。
多くの賃貸物件では、契約の際に連帯保証人を立てる必要があります。連帯保証人とは、入居者の家賃支払いが滞った際に代わって支払い責任が発生する人のこと。しかし、既にパートナーが亡くなっているなど、高齢者は連帯保証人が見つからない可能性があります。
保証会社を利用すれば入居可能な物件もありますが、中には親族の連帯保証人を必要とする物件もあります。せっかく見つけた物件が借りられなくなってしまうことのないよう、連帯保証人の必要有無については事前に不動産会社に確認しておきましょう。
高齢者が入居審査を通す方法
1金銭面に問題がないことを伝える
高齢者が入居審査を通すコツとして、まず、金銭面に問題がないことを契約時にしっかりと伝えましょう。
大家さんが高齢者に部屋を貸すのをためらう理由は、家賃の滞納を心配しているからです。現役で仕事をしている方なら、定期収入がある旨をしっかりと伝えておけば入居審査に通過する確率は高くなります。働いていない方は、金銭面に問題がないことを証明しましょう。預金通帳のコピーなどを提出し、きちんと家賃を支払える人物だと積極的にアピールしてください。
一般的に家賃2年分以上の貯金をがあると審査に通りやすくなります。たとえば家賃7万円の物件を借りたい場合は最低でも168万以上が必要です。
なお、最初から家賃の低い物件を探すのも重要なポイント。高齢者に限らず、家賃は収入の約30%程度が目安と言われています。あまりに高額な家賃の物件は審査に落ちやすくなってしまうため、自分の経済状況に見合った物件を探しましょう。
2シニア向けの物件を探す
物件探しの際に、あらかじめ高齢者向けの物件を探しておくのも手です。
大家さんからすれば、転勤などが多い若い方と比べると「シニア世代は長い期間住んでもらえる可能性が高い」というメリットもあります。そこで、中には高齢者への貸し出しに積極的な大家さんも少なからず存在します。不動産のポータルサイトを見ると、シニア用物件の特集が組まれていたり、条件に「シニア相談可能」と設定して検索できたりする場合もあるので活用してみましょう。
高齢者向けの物件はエレベーターが完備されていたり、病院などの外部と連携がとれるサービスがついていたりと、高齢者にあわせた造りになっている場合が多いです。初めから自分の住みやすい物件を見つけられる可能性が高いのが、高齢者向けの物件を探すメリットと言えるでしょう。ただし、設備が整っている分、家賃が高い物件も多いため注意してください。
3家族に援助を頼む
契約時に家族の協力が得られる場合は、ぜひ援助を頼んでおきましょう。
十分な収入見込みのある家族が連帯保証人になれば、入居審査に通る確率はぐっと上がります。また、日頃から面倒を見てくれる家族がいるとわかれば、大家さんも安心して物件を貸しやすくなるでしょう。家族が難しければ、ほかに信頼できる相手やヘルパーさんなどでも構いません。
可能であれば、家族が近くに住むエリアでお部屋探しをするのもポイントです。近くに頼れる相手がいることを積極的にアピールし、大家さんの安心へ繋げましょう。
4高齢者用のサービスを利用する
最後に、高齢者用のサービスを活用するのもポイントです。少子高齢化が進んでいる現状もあり、日本では高齢者が1人暮らしをするうえで便利なサービスが数多く存在します。
例えば、一般財団法人高齢者住宅財団が行っている「家賃保証制度」は、60歳以上なら利用できる家賃保証サービスです。限られた物件しか適用されないものの、通常の家賃保証会社と同じ値段で利用できます。
北海道では、センサーを活用して高齢者の様子を遠くから見守れる「独居老人等見守り支援事業」というサービスも。東京都世田谷区では、緊急時にボタンを押すだけで消防庁や受信センターに連絡できる「愛のペンダント」というサービスもあります。
これらのサービス利用をあわせて検討することで、大家さんも安心してお部屋を貸せます。紹介した以外にもさまざまなサービスが存在するため、自分の住む地域のHPなどで調べてみましょう。
5保証人不要の物件を探す
連帯保証人が見つからないリスクを踏まえ、あらかじめ保証人がいらない物件を探すのも手です。
賃貸物件契約時の連帯保証人を立てるのが難しい場合、あらかじめ保証人不要の物件を探していると不動産屋に伝えましょう。安さも重視するならビレッジハウスもおすすめです。家賃2万円台からと格安物件を取り扱っています。敷金・礼金・手数料・更新料が全て0円です。
高齢者の物件探しまとめ
高齢者が賃貸物件を借りるのが難しい理由、高齢者が入居審査を通すコツを解説しました。
高齢者が無事に入居できるかは、大家さんが「安心して部屋を貸せそうか」と判断できるかによって決まります。契約時は家賃滞納の心配がない点や、日頃から家族と連絡をとっていることを積極的にアピールしましょう。
総務省が2018年に発表している「住宅・土地統計調査」によると、65歳以上の単身世帯は638万世帯。内約3割が賃貸物件に住んでいることがわかっています。データからもわかる通り「高齢者だから」と賃貸物件を借りられないわけではありません。安心してお部屋を探してくださいね。