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賃貸物件の仮押さえは可能なの?
自分が暮らす部屋は、なるべく多くの部屋を見てから決めたいですよね。
たとえ、気に入った部屋を見つけても、「もっと探せばより希望に合った部屋が見つかるかも」と思う場合もあるでしょう。
「いま気に入っている部屋を仮で押さえて他の人に取られないようにできないか」と考える方も多いのではないでしょうか。
本記事では、部屋探しで仮押さえはできるのか、早い時期に部屋探しをする際におすすめの物件などを解説します。
不動産屋が口にする「仮押さえ」=入居申し込み
賃貸物件では、「とりあえず物件をキープしておく」意味での仮押さえはできません。一方、部屋探しをしていると不動産屋さんから「仮押さえしますか?」と尋ねられる場合があります。ここで言う「仮押さえ」はいわゆる「入居申し込み」を指すため注意しましょう。
申込書が大家さんに届くと申込書提出者が部屋を押さえたことになり、入居審査が始まります。実際の契約は入居審査後のため、入居審査が終わるまでは物件をキープしている状態です。そのため、「契約前の入居審査段階」を不動産屋は「仮押さえ」と表現しています。
【豆知識】なぜ、とりあえずの仮押さえがNGなの?
部屋探し中に気に入った物件をとりあえずキープの「仮押さえ」はできません。
これから自分が暮らしていく部屋は時間をかけて決めたいもの。もし仮押さえができた場合、多くの人が仮押さえをしたいと考えるでしょう。
しかし、1人が複数の物件をキープしてしまうと、同時期に部屋探しをしている他の人は空き物件が見つかりづらくなってしまいます。
また、結果的に入居希望者が住まなかった場合、押さえられていた部屋は空き室になってしまう可能性があります。
空き室になってしまうと、大家さんは家賃収入が得られません。大家さんのリスクを減らすためにも、気に入った部屋を仮で押さえる行為はできない仕組みになっています。
仮押さえをした場合にお金はかかる?
仮押さえ(入居申込)を進めるにあたり、賃貸物件によっては「申込金(預り金)」がかかる場合があります。「申込金」は契約成立までに不動産会社に預けるお金で、金額は一般的に家賃の1ヶ月分です。
申込金の有無は物件によって異なるため、入居申し込みを進める前に不動産屋に必ず確認しましょう。
仮押さえはキャンセルできる?
入居申し込みを進めてしまった場合、後にキャンセルできるのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。仮押さえをしていても、実際に契約を交わす前であればキャンセルが可能です。
通常、入居審査後は「宅建士からの重要事項説明」「賃貸契約書の締結」と進みます。つまり、賃貸契約書に捺印を押す前ならキャンセル可能で申込金も返金されます。
一方、契約書に捺印を押した段階で「物件を契約」した状態となり、キャンセルではなく「解約」となります。「申込金」は返金されません。さらに大体の契約書には「解約の予告は30日前までにおこなう」条項があるので、初月分の賃料を支払うことになります。
トラブルを避けるためにも何件も物件を内見し、本当にここに住みたいと思った部屋に出会えてから、契約書を交わすのがベストです。
また契約書を交わしていないにも関わらず、仮押さえの際に支払った「申込金」を返還されない場合は宅建業法違反となります。その場合は日本賃貸住宅管理協会の相談窓口にかけあいましょう。
日本賃貸住宅管理協会賃貸住宅に関するご相談
仮押さえを頼むことのメリット
仮押さえを頼むことのメリットは、なんといっても「他の人に物件を取られる心配がなくなる」点です。
希望者が部屋を押さえた時点で入居募集は停止され、Webサイトからも物件情報の掲載が消えます。そのため、他の入居希望者が現れることはなくなります。
賃貸物件は動きが早く、1日迷っている間に他の人に取られてしまう可能性も否めません。一旦は気に入った物件をキープできるのが、仮押さえのメリットです。
仮押さえを頼むことのデメリット
一方、安易に仮押さえを頼むことで入居希望者の信頼が落ちるデメリットもあります。
契約前であれば物件のキャンセルは可能ですが、やはり不動産会社や大家さんからの印象はよくありません。また、1度キャンセルすると同じ物件の再申込は基本的にできない仕組みになっています。他に悩んでいる物件がある場合はともかく、最初からキャンセルを意図した仮押さえは絶対にやめましょう。
早めに部屋探しをする場合におすすめの物件
引っ越しまでに余裕をもって部屋を決めておきたい人もいるでしょう。しかし、早く決めすぎると無駄な家賃を支払わなければならない可能性があります。
実際に入居する1ヶ月以上前に部屋を申し込んだ場合、住んでいなくても1ヶ月分の家賃がかかってしまう場合がほとんどです。室内クリーニングが完了している「即入居可」の物件では、申込日から2週間程度で家賃が発生してしまいます。
無駄な家賃を支払わないためにも、計画的に引っ越しスケジュールを組むのが大切です。
ただし物件のキープはできないとしても、「引っ越し直前は忙しくて不動産屋に行く時間がない」「繁忙期だから早めに部屋を決めたい」という方もいるでしょう。そんな人におすすめの物件をいくつか紹介します。
1フリーレント付き物件
入居希望日と申し込み日の差が1ヶ月ほどであれば、「フリーレント付き物件」を選ぶのも手です。
フリーレントとは、一定期間の家賃が無料になる制度のこと。無料期間は物件により異なるものの、およそ0.5ヶ月~1ヶ月程度が多いです。入居手続きを早く済ませてしまっても、最初は家賃が無料になるため無駄な家賃支払いが避けられます。ただし、家賃以外の「管理費」「共益費」などは発生してしまう場合が多いので注意しましょう。
2学生向け物件
大学進学を目的とした引っ越しの場合、学生向けの物件も視野に入れて探しましょう。
学生向け物件の場合、多くに合格発表まで部屋をキープできるサービスがあります。2~3月の合格発表後に慌てて部屋探しをする必要がなく、余裕を持って部屋を決められるのがメリットです。学生の方は、「住みたいエリア+学生マンション」などで検索して物件を探してみましょう。
3居住中の物件
前の住人が居住中で、退去予定日が入居希望日付近であればタイミングよく住める可能性があります。
通常、前入居者の退去後にクリーニングが行われ、次の入居者が住めるようになるのは退去からおよそ2~3週間後です。そのため、退去予定日が「実際に入居したい日の2~3週間前」の物件がおすすめです。
また、居住中物件は入居者退去後に内見してから契約する「先行申し込み」という方法があります。内見して気に入らない場合はキャンセルできるため、中を見るまでは実質部屋を押さえている状態になります。
注意点として、クリーニング完了日が予定より遅れる場合もあります。居住中の物件を選ぶ際は、入居日が予定より遅くなってしまうリスクを踏まえて検討しましょう。
4建築中の新築物件
設備の整ったキレイな部屋に住みたい方は、新築物件を狙うのもおすすめです。
現在建設中の新築物件で、完成予定日が分かれば入居希望日に合わせて住める可能性があります。ただし、工事の進捗によって完成日は左右するため、不動産屋さんから経過をこまめに共有してもらいましょう。
なお、新築物件は内見せずに契約手続きを進める「先行契約」がほとんどです。実際に中を見た際に、気に入らなくてもキャンセルはできないため注意しましょう。
「仮押さえ」の段階で審査落ちすることも
「契約前の入居審査段階」を不動産屋は「仮押さえ」と表現していますが、この審査段階で落ちる人も実は多くいます。
特に自分の年収と見合わない物件を申し込んだ場合審査に通らない可能性が高いです。
家賃は手取りから逆算して考えることが大事です。一般的に家賃の上限は管理費込みで手取りの30%以下が目安と言われています。
例えば、手取り金額が月25万円だった場合、家賃の上限目安は7万5千円以下になります。
手取りから見る家賃の例 | |||
---|---|---|---|
手取り額 | 賃料の目安 | 手取り額 | 賃料の目安 |
15万 | 4.5万 | 25万 | 7.5万 |
16万 | 4.8万 | 26万 | 7.8万 |
17万 | 5.1万 | 27万 | 8.1万 |
18万 | 5.4万 | 28万 | 8.4万 |
19万 | 5.7万 | 29万 | 8.7万 |
20万 | 6.0万 | 30万 | 9.0万 |
21万 | 6.3万 | 31万 | 9.3万 |
22万 | 6.6万 | 32万 | 9.6万 |
23万 | 6.9万 | 33万 | 9.9万 |
24万 | 7.2万 | 34万 | 10.2万 |
実際、入居審査の際は「家賃を継続して払える人物か」を見ているため、年収と見合わない家賃の物件を希望すると審査に通らない可能性が高いため注意が必要です。
賃貸物件の仮押さえ【まとめ】
賃貸物件の仮押さえが可能なのか、早い時期に部屋探しをする際におすすめの物件などについて解説しました。
一般的に、賃貸物件に「仮押さえ」の制度はありません。不動産会社が口にする「仮押さえ」は、いわゆる「入居申し込みを進める」の意味にあたるため注意してください。
なお、入居申し込み中でも契約前であれば物件のキャンセルは可能です。ただし、大家さんに迷惑がかかることを念頭に置き、どうしてもという場合のみ手続きを進めましょう。
最低限のマナーを守ったうえで、理想の部屋を見つけてくださいね。