SUUMOやHOMESで部屋探しをすると、掲載ミスかと思うほど家賃が安い物件を見たことはないでしょうか。家賃が安いのには必ずワケがあります。もし入居後に「事故物件」と気づいた場合、心理的嫌悪はもちろん、全国ニュースになった事件の場合、ネット上に住所が出ているというデメリットもあります。
本記事では事故物件サイトを4つ紹介します!大島てる以外でも事故物件を調べる方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
事故物件とは
事故物件とは「他殺」「自殺」などにより入居者が部屋で死亡した賃貸物件を指します。一方で老衰や持病による病死、自宅の階段からの転落死、お酒によってお風呂場で溺死など日常生活の中で生じた不慮の事故に関しては事故物件扱いにはなりません。
事故物件にならない死亡例
- 老衰、持病による病死など、いわゆる自然死
- 自宅の階段からの転落や、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥など、日常生活の中で生じた不慮の事故
- 隣接する住戸や、通常使用しない集合住宅の共用部で人が亡くなった場合
- 死亡してから概ね3年間が経過した場合
出典元:国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
ただし自然死や日常生活の中での不慮の事故で死亡した場合でも、腐敗が進んで特殊清掃が入った場合や大規模リフォームが行われた場合は、賃貸契約を結ぶ際に告示義務が発生します。
事故物件を調べられるサイト4選
大島てる
出典元:youtube
1日当たり約60~80万のアクセスがある最も有名な「事故物件」の情報提供サイト。サイトの運営代表者の名前「大島てる」がそのままサイト名になっています。情報は一般ユーザーからの投稿により反映されており、投稿の内容を精査するため複数のスタッフでチェックされています。
ユーザーからの投稿がメインのため誤情報が掲載されることもあり、指摘を受ければ基本的には一旦削除される仕組みをとっています。
大島てる公式大島てる物件公示サイトはこちら
UR賃貸
UR賃貸が取り扱っている事故物件専用ページです。特殊清掃が入っていない孤独死も事故物件として扱っています。
事故物件に入居すると1~2年間の家賃が半額まで割引されるため、狙って応募する人も多く掲載されてもすぐに埋まるケースが多いです。
UR賃貸の特別募集住宅は電話やネット上での受付はしていません。申し込む場合は、UR賃貸営業所に行く必要があります。また住宅種類が「健康寿命サポート住宅」となっている物件はお申込み者本人が満60歳以上の単身者であることが条件になっています。
UR賃貸公式UR賃貸の特別募集住宅一覧はこちら
SUUMO
掲載物件数がNo.1の大手ポータルサイトSUUMOでも物件サイトを検索できます。「告示事項」の記載がある場合は事故物件です。
「告示事項」と検索すると事故物件を一覧で見ること出来ます。
SUUMO公式SUUMOに掲載されている事故物件一覧はこちら
HOMES
SUUMOに次ぐ大手ポータルサイトHOMESでも「事故物件」を一覧で見ることができます。
HOMESも「告示事項」と検索すると事故物件を一覧で見ること出来ます。
HOMES公式HOMESに掲載されている事故物件一覧はこちら
【豆知識】ネットで探せない優良物件を探すコツ
スーモやHOME’Sにはない未公開物件を探すなら「iettyの公式アプリ」が便利です。
不動産屋だけが見れるデータベース(レインズ)からAIがお部屋を紹介してくれます。
※レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた、不動産流通機構が運営している情報共有システムのこと。全国の不動産業者が加入している。宅建業の届出をしている不動産会社しか利用できず一般公開はされていない。
iettyの特徴
- 仲介手数料が半額
- 他の賃貸サイトの空き状況も調べてくれる
- AIとやりとりするので営業マンのごり押しがない
仲介手数料(家賃の1ヶ月分)が半額なので、初期費用を抑えたい人にもおすすめです。
事故物件の確実な調べ方
最も手っ取り早く確実に知る方法は、不動産会社の担当者に聞くことです。入居希望者から「事故物件」について質問を受けたら、不動産会社の担当者は正直に答える義務があるからです。
宅地建物取引業法第47条第1号において、宅地建物取引業者が「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」を禁じています。
もし入居希望者の質問に意図的に嘘を伝えた場合、軽くて「業務停止処分」「免許取消処分」、悪質と判断されれば「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科」が科されます。
しかしSUUMOやHOMES経由で「事故物件ですか?」とストレートに問い合わせをするのはおすすめしません。「1度来店して説明します」とうやむやな回答がくることも多くハッキリと教えてくれないパターンが多いからです。
告知事項には4種類ある
SUUMOやHOMESに記載されている「告知事項」とは、不動産屋が入居希望者に対し、事前に伝えなければならない重要事項のことです。
物件を貸す際、事件・事故などの見ためからは分からない欠陥(瑕疵)がある場合、不動産屋は、その事を報告する「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」の義務があります。欠陥(瑕疵)の報告義務は大きく分けて4種類あります。
1物理的瑕疵物件(ぶつりてきかしぶっけん)
土地や物件の建物に、重大な破損や欠陥があるケースを指します。
物理的瑕疵物件の例
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 耐震強度の不足
- 壁のひび割れ
- 建材にアスベストを使用
- 地盤沈下など地盤が歪んでいる
地盤が歪んでいたり、建材にアスベストを使用しているなど、目で見て分からない「瑕疵」の場合は、専門家に調査してもらわなければ把握できないため、まず見抜くことは難しいでしょう。
また日常生活をしている中で起きた壁の傷や床の摩耗・変色は瑕疵としてみなされません。
2法律的瑕疵物件(ほうりつてきかしぶっけん)
法令などにより、なんらかの制限がある場合、または法令を違反していることを指します。
法律的瑕疵物件の例
- 構造上の安全基準が満たされていない
- 火災報知機、スプリンクラー等の防災設備が古い
- 都市計画法に基づき制限が設けられている
原則として新築物件に違法建築になる物件は存在しませんが、1981年以前に建てられている場合は、耐震基準を満たしていない可能性があります。
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合によると、1950年~1980年までに着工された木造二階建て以下の建物を対象とした耐震診断のうち、84.95%の住宅が震度6強クラスの大地震で倒壊する可能性があると指摘しています。
東日本大震災でも老朽化した木造住宅に倒壊が多く、現行の耐震基準を満たしていない建物や、施工工事に問題があった建物などに被害が発生しました。
3心理的瑕疵物件(しんりてきかしぶっけん)
心理的瑕疵物件とは過去に事故や事件・なにかしらのトラブル等が発生した物件を指します。
部屋の構造に問題がなくても心理的に「住みたくない」と嫌悪感を感じる、いわゆる「事故物件」です。SUUMOやHOMESに「告知事項あり」と記載されている場合、ほとんどが「心理的瑕疵物件」に該当します。
また直接的な被害はなくても近所にヤクザの事務所やキャバクラなど嫌悪施設が近所にあるなども該当します。
心理的瑕疵物件の例
- 自殺があった
- 殺人事件が起きた
- 病気で亡くなっていたが発見が遅れた
- 火葬場・墓場などの心理的に避けたい施設が近い
- ラブホテル、風俗店など品位を下げる施設が近い
4環境的瑕疵物件(かんきょうてきかしぶっけん)
物件そのものに問題はないものの、周辺環境に嫌悪感を感じる物件を指します。
ケースによっては心理的瑕疵物件に含まれることもあります。
環境的瑕疵物件の例
- 工場やゴミ焼却場などの悪臭や騒音が懸念される施設
- 火葬場・墓場・刑務所などの心理的に避けたい施設
- パチンコ店やラブホテル、風俗店など品位を下げる施設
- 高速道路などによる振動や騒音
もしも不動産屋が入居希望者に上記に該当する瑕疵の説明をせずに入居させた場合、宅建業法4条1項1号に定められた「告知義務」の違反となり契約解除や損害賠償を請求することができます。
「事故物件」なのに告知義務を無くす裏技
告知義務のやっかいな点は、人の死が絡んだ場合の定義が明確にされていないことです。
人の死が絡んだ場合は2人目の入居者には告知義務が不要となります。
賃貸物件には「事故物件の告知義務は、次に入居するひとり目のみ」という業界ルールがあります。
1度でも入居者が生活すれば、過去の事件・事故による心理的瑕疵は薄まるため、以後の入居者に告知義務は発生しなくなります。
これは過去の裁判例によって認められています。
自殺事故と当該貸室の告知期間
告知が必要な期間は、事故等の概要、賃貸物件の需給状況、部屋の仕様等によって異なるものと思われるが、「最初の入居者に対しては本件事件の告知義務はあるが、同入居者が通常の賃貸期間を経過して退去した後は、新たな入居者に対して本件事件を告知する義務はない」などの判示がされている。
引用元:一般財団法人 不動産適正取引推進機構(https://www.retio.or.jp/attach/archive/112-060.pdf)
この「事故物件の告知義務は、次に入居するひとり目のみ」というルールを逆手にとり告知義務を合法的に消す業者も増えています。
たとえば自殺や殺人が起きた物件に短期間だけ自社の社員に契約させ“住んだ”という実績を作れば告知義務は発生しなくなります。
ほかにも、共用スペースなどの敷地内における事件・事故が起きることもあります。
たとえば入居者と無関係の人物がマンションの屋上から飛び降り自殺したり、共用通路で人が殺されていたりしたら、心理的嫌悪を抱く人も多いはずです。
しかし敷地内における事件・事故に関しては、基本的に告知義務は発生しません。
たとえ入居後に事件を知って管理会社を訴えたとしても、それまでに収めた家賃の返還や引越費用の請求は認められず、結果として泣き寝入りすることになります。
また一般的に自然死についても告知義務はありません。
自然死と瑕疵
自然死は、社会通念上嫌悪すべき心理的欠陥に該当するとはいえないことから、心理的瑕疵に該当するものではない。裁判例としては、自殺事故に該当しないとして棄却された下記裁判例が見られる。
<瑕疵を否定した事例>
・【A10】住宅売買の6年9か月前の居住者の死亡に関する死体検案書に自殺と記載されていたが、裁判所は死亡時の状況の総合考慮により自殺とは認められないとして心理的瑕疵を否定した事例。
引用元:一般財団法人 不動産適正取引推進機構(https://www.retio.or.jp/attach/archive/112-060.pdf)
ただし死後の発見が遅れ腐敗が進んでいたなどの場合は瑕疵と認められ告知義務が発生する場合もあります。しかし「死後〇日後に発見」といった明確な線引きがないため、告知の判断は物件のオーナーに委ねられることになります。
事故物件を自分で見抜くコツ
事故物件を見抜くコツ
- 家賃が周辺相場と比べてやたら安い
- 物件情報に「告知事項あり」の文字がある
- お部屋の一部が不自然にリフォームされている
- 定期借家になっている
- マンション、アパート名が変更されている
事故物件は、基本「告知事項あり」などの文字が記載されていますが中には定期借家として一定期間安くで貸し出し告知義務を合法的に消す業者も増えています。告知事項の記載がない場合は家賃相場や部屋のリフォーム・マンション名などを確認してみましょう。
周辺相場と比べて、2~3割安い場合は疑ったほうが良いです。半額以上安いお部屋は特殊清掃が入ったか、他殺事件があった可能性が高いです。
また建物名の変更については住所で検索すると昔の名前がヒットする場合があります。昔のマンション名で「〇〇〇(マンション名) 事件」と検索すると「事故物件」か調べることができます。