目次
そもそも『おとり物件』ってなに?
いまや部屋探しに欠かせない、パソコンやスマホから24時間いつでも物件を探せる賃貸サイト。
賃貸サイトには、大手不動産会社が独自に運営している企業型、中小不動産業者がメンバーになって協会が運営している協会型など、さまざまな種類がありますが、やはり情報量の豊富さと使い勝手のよさでいえば、圧倒的にポータルサイト型に軍配があがります。
ポータルサイトの代表的なサイト「ホームズ」も100万件以上もの膨大なデータから、細かく条件を入力して、希望する条件を絞り込め、気に入った物件があったら気軽に問い合わせできる便利な仕組みになっています。
ただ魅力的な物件を見つけて問い合わせをし、期待に胸を膨らませながら、いざ来店すると
申し訳ございませんが、あの物件はタッチの差で決まってしまいました・・・
と言われ、別の物件を紹介される・・・。ホームズに限らず部屋探しをしていると、誰しも一度はこんな経験があるのではないでしょうか?
ただ、果たしてその物件は本当にタッチの差で入居されたのでしょうか?もしかしたらその物件は客寄せのためだけに掲載された「おとり物件」だったかも知れません。
不動産業界では客寄せのために実際には入居できない物件の事を『おとり物件』と呼びます。
獲物を釣り出す“おとり”になぞらえてのことですが、本気で物件を探す入居希望者からすれば無駄足を踏まされるので、たまったものではありません。
貴重な時間をありもしない物件のために消費したり希望と違う物件を紹介されたりするのは、精神的にも肉体的にも疲弊します。
ホームズに『おとり物件はあるの?』
ホームズに『おとり物件』はあるのか?結論からいうと『あります』。ホームズに限らず、不動産ポータルサイトに確実に「おとり物件」は存在します。
不動産ポータルサイトとは掲載料を不動産会社からもらって運営しているサイトのことを指します。
よく誤解されがちですが、あくまで不動産会社からお金をもらって物件情報を掲載しているだけで、不動産ポータルサイトは不動産業者ではありません。
ホームズも不動産ポータルサイトなので不動産業者ではありません。公式に掲載されているホームズの仕組みの図です↓
出典元:LIFULL HOME'Sとは
ホームズは不動産会社から掲載費をもらって物件情報を掲載している情報提供サイトです。
ホームズは知名度も抜群にあり集客力がかなり高いサイトなので、不動産会社もお客さんからの問い合わせの窓口を広げるため、お金を払ってホームズに物件情報を掲載するのです。
またインターネットから人を呼び込む際は、取り扱い物件の豊富さをアピールすることが重要になってきます。そのため複数の会社の物件情報を引用することがよくあります。
自社で管理している物件だけではボリュームが足りず魅力に欠けるため、業者間で共有しているレインズというデータベースから条件の魅力的な物件を引用して掲載するのです。
問い合わせをもらうためには魅力的な物件でなければ意味がありません。入居者が既に決まっていようが、お構いなし。とにかく人を呼び込むことだけを目的としています。
こうした物件情報が、いわゆる『おとり物件』です。
「おとり物件」は違法行為!
実際には紹介できない魅力的な物件を意図的に掲載し、入居希望者を呼び込むことは違法行為です。
公正取引委員会が掲げる景品表示法第5条第3号の規定に基づく『不動産のおとり広告に関する表示』では、以下に該当する不動産の表示を禁止しています。
(1)取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示(例...実在しない住所・地番を掲載した物件)
(2)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示(例…売約済みの物件)
(3)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示(例…希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じない場合)
引用元:消費者庁:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/case_003/
しかし『おとり物件』と分からないお客さんは違法の営業を受けたことも知らないまま、似たような物件を次々と紹介されてしまいます。
1~3月の繁忙期ならば本当にタッチの差で決まってしまうこともありますが、この時期以外で担当者から「問い合わせ頂いた物件は埋まってしまいました」のコメントが出てきたら、おとり物件の可能性はかなり高いです。
【豆知識】おとり物件を確実に見分ける方法
おとり物件か確実に見抜くには「iettyのアプリ」が便利です。気になる物件のURLを送ると不動産屋だけが見れるデータベース(レインズ)で空き状況をチェックしてくれます。
スーモやHOME’Sにはない未公開物件も探せる便利な賃貸アプリです。
ホームズ側も『おとり物件』の対策はしているが・・・
おとり物件の放置はユーザーの信頼を失いますし、サイトの質の低下にも繋がります。そこでホームズはおとり物件をはじめとする違反物件情報を自動検出するシステムの運用を2018年03月から開始しています。
■自動検出システムの概要
このたび運用を開始した違反掲載自動検出システムは、弊社が独自開発したもので、実際には契約できない成約済物件や条件のよい架空の物件など、いわゆる「おとり物件」の疑いのある情報を毎日自動で検出します。違反物件の取締り活動においては、従来から簡易型のシステムを活用していましたが、今回これを刷新し違反物件の検出を効率化しました。検出された物件については、専門部署による事実確認や是正指導を行います。当初、本システムは賃貸物件情報を対象に運用していますが、今後は適用範囲の拡大や検出精度の向上、是正措置の自動化などを視野にいれています。
※システムの性質上、検出内容の詳細につきましては非公開とさせていただきます。
ただ『検出内容の詳細につきましては非公開』とある通り、どこまでの精度なのか不明です。また「検出された物件については、専門部署による事実確認や是正指導を行います。」とあり、まずは不動産会社に事実確認が入るので、既に成約済みの物件が掲載されていても、不動産会社が「忙しくて下げ忘れていました。すいません!」と答えると「次からは気を付けてくださいね」という指導だけで終わります。
よほど悪質であれば掲載停止になる可能性もありますが、そもそもホームズは不動産会社から掲載料をもらって成り立っているので、積極的に不動産会社を全面停止にするのは、ホームズにとってもデメリットになります。
【豆知識】ネットで探せない優良物件を探すコツ
スーモやHOME’Sにはない未公開物件を探すなら「iettyのアプリ」が便利です。
不動産屋だけが見れるデータベース(レインズ)からAIがお部屋を紹介してくれます。
仲介手数料(家賃の1ヶ月分)が半額なので、初期費用を抑えたい人にもおすすめです。
iettyの特徴
- 仲介手数料が半額
- 他の賃貸サイトの空き状況も調べてくれる
- AIとやりとりするので営業マンのごり押しがない
▼ AIが賃貸を紹介 ▼
※レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた、不動産流通機構が運営している情報共有システムのこと。全国の不動産業者が加入している。宅建業の届出をしている不動産会社しか利用できず一般公開はされていない。
ホームズにある『おとり物件』の見分け方は?
よく注意すると『おとり物件』には特徴があります。ダマされないためにも『おとり物件』について知っておきましょう。
今回は『おとり物件』の特徴や見分け方を紹介します。
1家賃が相場よりも明らかに安い
『おとり物件』は物件を探す人が迷わず飛びつく好条件でなくては意味がありません。さまざまな条件を考慮しても同程度の物件と比べて明らかに家賃が安い物件は『おとり物件』の可能性が疑われます。
多少の条件の違いはありますが少なくとも家賃については周辺の物件よりも明確に低く設定するケースは特殊なケースでもない限り考えられず、相場よりも明らかに安い家賃を見つけても信用しないほうが賢明です。
物件によっては特殊な事情、例えば立地や日当たりなどの条件が悪いために家賃が安いことはありますが、特段の事情もないのに家賃の安い物件を見つけても安易に信用しないほうがいいでしょう。
もしそんな物件を見つけたら検索サイトの家賃絞り込み機能などを使い同条件で借りられる周辺物件の家賃相場を確認してみてください。
2物件の詳細が記載されていない
不動産広告では出来る限り詳細な物件情報を記載するのが原則です。少なくとも大手サイトであれば物件の正式名称や正確な住所については記載があるのが基本です。
にも関わらず詳細な情報が記載されていない物件についてはなにか調べられるとまずいことがある、つまり『おとり物件』である可能性が疑われます。
『おとり物件』にもいくつかのパターンがあり、すでに入居が決まっている物件を空き物件を装って掲載することもあれば、そもそも存在しない架空の物件をでっち上げるパターンもあります。
でっち上げられた架空の物件に関しては検索サイトや地図サイトで詳細を調べられるとボロが出てしまうため、広告に物件の詳細情報を記載していません。本来あるべき基本情報が欠落している魅力的な物件を見つけたら『おとり物件』の可能性があります。
3現地集合での内覧ができない
物件の内覧は不動産選びの基本です。最近は不動産業者の手間を省くために現地集合で内覧が出来る物件が増えています。多くの物件が現地集合による内覧可になっている中、直接来店でないと内覧できない物件については『おとり物件』の可能性が考えられます。
存在しない『おとり物件』はそもそも内覧できません。現地集合だとバレてしまうため直接来店以外は内覧不可と案内しておきいざ内覧希望者が現れたら、ついさっき契約成立してしまっと言ってごまかしてきます。
現地集合による内覧を禁止する合理的な理由はありません。頑なに現地集合を拒否するようならその物件は、そもそも入居できない可能性が濃厚です。
4ひとつのサイトにしか情報が掲載されていない
現在入居者を募集している物件の殆どは復数のサイトに情報を掲載しています。多くのサイトや情報誌に物件情報を出すほど入居希望者が見つかる可能性が高くなるという理由からですが、好条件にもかかわらず特定のサイトにしか情報を出していない物件がたまに見つかります。
ひとつのサイトにしか情報が掲載されていない物件は、そのサイトの運営側が用意した『おとり物件』の可能性が疑われます。一般の物件情報は復数のサイトに掲載されますが、『おとり物件』関しては使い回しはなくサイトの運営者が独自の判断で情報を作成し掲載しています。
ほかのサイトでは情報が見つからない、あるいは別サイトでは家賃など募集条件が全く異なる物件に関しては高い確率で『おとり物件』です。
魅力的な物件を見つけたらほかのサイトでも情報をチェックしてみると『おとり物件』かどうか見極められます。
【まとめ】ホームズにある『おとり物件』の見分け方
おとり物件には必ずどこかにほころびがあります。ダマされないためにも好条件だけで飛びつかず細かい部分まできちんと見極める姿勢が大切です。ホームズに限らず現在運営されている賃貸ポータルサイトの殆どにおとり物件が存在するといわれています。ぬか喜びで無駄な労力を使わないためにも魅力的な物件を見つけた時ほど慎重に判断してくださいね。