新しいお部屋を探す際に、まずはインターネットで物件を検索する方も多いでしょう。しかし、ネットに掲載されている物件には「おとり物件」が紛れ込んでいる可能性もあります。
おとり物件に騙されて貴重な時間を無駄にしないよう、見分け方をチェックしていきましょう!
目次
おとり物件ってなに?
「おとり物件」とは、募集されていても実際には契約できない物件を指します。
既に入居者が決まっていたり、悪質な場合では不動産会社がでっちあげた架空のものだったりとケースはさまざま。どちらにしても内見はできないので、当日不動産会社に行くと「問い合わせいただいた物件は既に決まってしまいました」などと断られて、代わりに別の物件を紹介されます。
せっかく興味のある物件が見つかっても、実際に住めないのであれば時間のロスになってしまいます。見分け方を覚えて、おとり物件にひっかからないよう注意しましょう!
おとり物件の見分け方
1情報が不十分または好条件すぎたら注意
お部屋を探す際は募集詳細をしっかり読み込みましょう。
写真がなかったり、他の物件と同じ写真が使われていたりしたら、そもそも物件が存在しない可能性が高いです。同様に、住所や物件名などの情報があまり公開されていない場合も注意が必要。ただし、中には大家さんの意向で詳細を隠しているケースもあるので、気になったら不動産会社に直接問い合わせてみるのがベストです。
また、「駅から近い」「築浅」「家賃が安い」など条件がそろいすぎている場合も要注意。好条件の物件はわざわざお金を出して集客しなくても決まるので、ポータルサイトに載せないケースが多いです。すぐに問い合わせしたくなってしまいますが、一度冷静になって情報をよく確認してみましょう。
2物件の情報登録日をチェックする
ほとんどの不動産ポータルサイトでは、物件ごとに登録日や最終更新日が記載されています。好条件のお部屋が見つかったら、登録日や更新日をチェックしてみましょう。
賃貸物件の動きは早く、良いお部屋は通常1ヶ月かからずに埋まってしまいます。条件が良いにも拘わらず登録日が1~2ヶ月も古い場合は、「情報を更新する必要がない」=「案内できない部屋」の可能性が考えられるでしょう。
3家賃をエリアの相場と比較する
周りと比べて家賃が安すぎるのも要注意。家賃はなるべく抑えたいと考える人がほとんどのため、安さに惹かれて問い合わせさせようとする悪質なケースが予想されます。
そもそも、家賃はエリアの相場にあわせて決められています。近隣の物件と比較して2~3万円もかけ離れているようであれば怪しいと言えるでしょう。
契約できたとしても、家賃が安いと設備に問題があったり、事故物件だったりすることも。契約後に後悔しないよう、問い合わせ時に「なぜ安いのか」をきちんと尋ねておきましょう。
4貸主・代理の物件を選ぶ
物件広告には物件のオーナーと広告元との関係性を示す「取引様態」が記載されているのでチェックしましょう。
最も安心なのは、取引様態が「貸主」や「代理」となっている物件。オーナー本人や関わりの深い人物が募集している場合を示し、間に第三者が入っていないため安全です。また、オーナーが直接入居者募集を依頼している状態の「仲介元付」も、オーナーとの関係性が近いので比較的安全と言えるでしょう。
対して最も注意すべきなのが、仲介元付から募集を依頼された状態を示す「仲介先物」。オーナーと直接関係がないので情報を操作して掲載しているケースが考えられるでしょう。
5複数のポータルサイトに掲載されているか見る
気になる物件が見つかったら、複数のポータルサイトで募集されているかもチェックしてみましょう。
より多くの人に募集を知ってもらうために、物件広告は複数のサイトで出しているケースがほとんどです。もし、1つのサイトにしか掲載されていなかったら要注意。既に募集が終わっているにも拘わらず、サイトのタイムラグで掲載されたままになっている可能性があります。
【豆知識】おとり物件を確実に見分ける方法
おとり物件か確実に見抜くには「iettyのアプリ」が便利です。気になる物件のURLを送ると不動産屋だけが見れるデータベース(レインズ)で空き状況をチェックしてくれます。
スーモやHOME’Sにはない未公開物件も探せる便利な賃貸アプリです。
6信頼できる不動産会社かチェックする
募集している不動産会社の情報を調べてみるのも有効です。既に利用したことがある人がいれば話を聞いたり、ネット上の口コミをチェックし信頼できる不動産会社かどうかチェックしましょう。
また、不動産会社の公式サイトがあれば読んでみるのも効果的。もし更新が滞っている場合は、人手が足りておらず募集状況も古いままになっている可能性があります。ただし、きちんと更新されている場合でも、フランチャイズの店舗は本部が一括で更新している場合もあるので注意しましょう。
おとり物件はなぜ減らないの?
おとり物件の掲載は宅建業法32条で禁止されており、発覚した場合には業務停止や免許取り消し処分になります。しかし、おとり物件は現状なかなか減っていません。
おとり物件が減らない理由の1つに、不動産会社の集客の難しさが挙げられます。毎日買うような食材や日用品雑貨と違い、「家」は一生の内に数回しか選ぶ機会がありません。そんな数少ないチャンスを、多数の不動産会社が取り合っています。
自社で成約してもらうためにも、まずは入居希望者の目を引くような物件を出して来店に繋げる必要があります。「おとり物件」は言わば、他社と差をつけるための営業戦略。そして、1社が始めると、他の不動産会社も「お客さんが来ない!」となってしまい、おとり広告の連鎖が始まってしまいます。
集客目的としての「おとり物件」は悪質な例と考えられますが、一方で悪意なく発生しまっているケースも存在します。よくあるのが、入居者が決まったのに広告掲載を落とすのを忘れていたり、空き室状況の確認が漏れていたりして「おとり物件」になってしまっている状態。特に1~3月の繁忙期など、スタッフの人手が足りていない時に起きやすいです。
ネット上でお部屋を探す際は、「必ずしも正確な情報とは限らない」と理解したうえで利用しましょう。
悪質な『おとり物件』は業務停止にできる
明らかにおとり物件と分かった時は、泣き寝入りせず積極的に通報していきましょう。続いておとり物件を見つけた時の通報先や悪質な場合の処罰を紹介します。
1物件の掲載をすべて停止にさせる方法
2012年3月にスーモ、ホームズ、アットホームなどを運営している企業が中心となり「ポータルサイト広告適正化部会」という組織が開設され、おとり物件を通報することが可能となりました。
SUUMOのおとり物件通報先「SUUMOの通報フォーム」
HOMESのおとり物件通報先「HOMESの通報フォーム」
通報する際は、以下の情報が必要になります。おとり物件の可能性がある場合、証拠を残すため、電話ではなくメールでやりとりしましょう。
- 通報者の名前
- 通報者のメールアドレス
- 不動産会社の担当者名
- 物件番号(サイトの詳細画面に記載)
- 問い合わせたした日付
- 不動産業者とのやり取りの詳細内容
悪質な不動産屋は、以下の大手賃貸物件ポータルサイトに情報を共有され1ヶ月間、広告掲載ができなくなります。
掲載停止できるサイト一覧
- at home
- CHINTAI
- マイナビ賃貸
- HOME’S
- SUUMO
- ヤフー不動産
- いい部屋ネット
- ラビ―ネット不動産
- スマイティ
- 健美家
- ハトマークサイト
2業務停止や免許取り消しにする方法
1ヶ月の掲載停止では生ぬるい!もっときちんと対処してほしいといった場合は、東京都住宅対策本部や消費者庁に通報することも可能です。
東京都住宅対策本部:賃貸ホットライン(電話対応)
消費者庁:景品表示法違反被疑情報提供(問い合わせフォーム)
おとり物件は宅建業法32条で禁止されている違法行為です。
内容が悪質だと判断された場合、免許取り消しや業務停止などの重い処分が科されます。おとり物件に騙されたと分かった場合は、泣き寝入りせずに積極的に通報していきましょう。
おとり物件を見抜くコツ
1内見時は「現地で待ち合せたい」と伝える
おとり物件を見分けるのに最も効果的なのは、内見時に不動産会社へ「現地で待ち合せたい」とお願いする方法。実際は案内できない物件なら、まずは店舗に来るように言われます。
現地集合を断られる場合は、他の不動産会社をあたった方がいいでしょう。
2電話で問い合わせる
不動産のポータルサイトは、募集ページからすぐに広告元の不動産会社へ問い合わせできるようになっています。場所や時間を問わず利用できて便利ですが、問題ない物件か確認するならあえて電話で問い合わせるのがおすすめです。
電話で問い合わせると、スタッフの話し方や態度からおとり物件かを判断できる可能性が高いです。特に、「内見できますか?」と聞いてすぐに「できる」と返答があったら注意。通常なら、念のためにまだ空き室かを確認してから返答するためです。
3隠されている条件がないか確認する
入居者が不利になるような条件を隠して募集している場合もあります。
よくあるのが、住める期間が決まっている「定期借家」や、他の住人と共同で暮らす「シェアハウス」を通常の物件として募集しているケース。どちらも「家賃の安い」物件としてネット上に掲載され、来店後に条件を伝えられます。
一見魅力的に感じてしまいがちですが、家賃が安いのには何か理由があると考え、すぐに内見しないよう注意しましょう。
4実際に現地に行ってみる
インターネットで募集している物件は、住所や周辺環境からある程度場所が特定できるようになっています。不安であれば、問い合わせや内見の前に実際に見に行くのもいいかもしれません。
例えばネット上で「即入居可」と記載されていたのに、すべての部屋に洗濯物や私物が置かれていたりしたらおとり物件だと考えられます。
おとり物件の見分け方まとめ
実際には入居できない「おとり物件」は、不動産会社が集客目的で行っている場合と、ミスやサイトのタイムラグで発生している場合の2パターンが考えられます。どちらにしても、募集している物件を詳しく調べる、不動産会社に直接問い合わせるなどの方法で見分けられるでしょう。
ネットに掲載されている情報はすべて正しいとは一概に言えません。おとり広告に引っかからないよう、ぜひ紹介した見分け方を参考にしてみてくださいね!
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